聴と聞くと、自分には縁遠いものと思う方がほとんではないでしょうか?
しかし、人間の聴力のピークは20歳前後で、その後は確実に耳は衰えて行くのです。
難聴は大きく分けて、伝音性(でんおんせい)難聴と感音性(かんおんせい)難聴に大別されます。
伝音性難聴は、主に鼓膜付近(中耳)の疾患によって起こる難聴です。
中耳炎による難聴が最も有名ですね。
多くの場合は、耳鼻科で適切な治療を受ければ良くなるのです。
感音性難聴は、主に内耳に問題があって起こる難聴です。
内耳のメカニズム、皆さん忘れちゃいましたか?
もう一度、思い出してみてくださいね。
(オト・コラム 第8回~11回)
ここの第10回 人が音を聞くメカニズム(7)~耳の中に"毛"が・・・~で書いた「毛」が、感音性難聴のキーワードなのです。
渦巻状の蝸牛の中の、有毛細胞の上に生えた「毛」です。
この毛・・・なんと!
加齢に応じて、倒れてしまったり、抜けてしまったりするのです!!
第10回、第11回で書いた通り、人間が耳に入って来た音を認識する際、高い周波数の音は手前(渦巻の外側)の、低い周波数の音は奥(渦巻の外側)の有毛細胞が担当しています。
そして、この毛は、やはり、渦巻の外側の方から倒れたり、抜けたりし始めるようでして・・・
抜け毛が気になっている方、頭の話じゃありませんよ!
耳の奥の奥の方の話ですからね!
ここまでお話すれば、もうお分かりかと思います。
そう、多くの感音性難聴では、高い周波数の音から聞こえ難くなってくるのです。
モスキート音という高い周波数の音が、一時期、静かなブームになりましたよね?
若者には聞こえるのに、中高年には聞こえないっていう、あれです。
あれは、17kHzくらいの周波数の音なのです。
人間が聞く事の出来る最も高い周波数の音は、健康な20代前半の若者で20kHzくらいと言われています。
しかし、この年齢を超えると、蝸牛の手前側の毛から徐々に倒れたり、抜けたりしてきますので、聞く事の出来る周波数が段々と下がって来ます。
17kHzくらいだと、ちょうど若者には聞こえて、中高年には聞こえ難いのです。
ちなみに私は、聴覚に関する講義をしている時に、学生の携帯でモスキート音を鳴らされ・・・教室で私だけが聞こえずに、悔しい思いをさせられた事があります。
くそ~!全員落第にしてやれば良かった!
(2011.02.04)