オトコラム

第22号 耳とスポーツ

バンクーバーオリンピックが真っ盛り!
連日、熱戦が続いていますね。
と言うわけで、今回のオト・コラムは、耳とスポーツについてお話してみましょう。

スポーツと音には、おそらく皆さんが想像するよりも、遥かに深い関係があります。
私は野球が好きなので、真っ先に思いつくのは、バットでボールを打った「カキーン」ですが、スポーツで出る音って、他にも無限にありますよね。

ボールの当たる音、捕る音、投げる音、弾む音。
選手間で発せられる呼び声やかけ声。
スタートのピストルの音。
審判のジャッジの声やホイッスルの音。
足音や息遣いの音、ユニフォームの衣擦れ(きぬずれ)の音、風切り音、ベンチからの指示の声や応援の音・・・

剣道のように、攻撃の時に「メ~ン!」とか叫んじゃう競技もありますし、ホント数え上げたらキリがありません。

その中でも、私が個人的に「最も影響が大きそうだな」と思っているのは・・・卓球です。
福原愛選手や石川佳純選手など、一見とても可愛らしい普通の女の子が、物凄いスピードでボールを打ち合っています。しかも、ボールの回転の方向、角度、スピードなどには微妙な駆け引きがあって、お互いに常に変化させているそうです。
あんな、目にも止まらぬスピードで!?

視覚だけで、あんな芸当ができるでしょうか?
感覚の反応速度から考えたら、まず不可能です。
あのスピードについて行けるのは、聴覚だけでしょう。
(→オトコラムNo.2聴覚の反応速度

あれは、ボールがラケットに当たる音、台で弾む音などを聞き分けて、瞬時に体が反応しているのです。
以前に、ある大学の卓球部の一流選手に、実際に打ったのとは異なる滅茶苦茶なタイミングで打球音を聞かせて、打ち合いをやらせるという実験が行われました。
驚いたことに、一流選手が全くと言っていいほど打ち合えなくなりました。
こう考えると、例えば、バスケットボールのドリブルなども、音がかなり影響していそうです。
いちいち手元を見てドリブルしてたら、勝負になりませんよねぇ。
おそらくは、練習によって培われた、触覚(ボールに触れる手の感触)、力加減、時間的な感覚(投げてから弾んで返ってくるまでのタイミング感覚)などに加えて、ボールが床に弾む“音のリズム”や“音の大きさ”などが深く関係しているのではないでしょうか?

他にも色々ありそうです!
「こんな音は?」っていうのがあったら、ぜひ知らせてください。

皆さんも、こんな視点からスポーツを見てみてはいかがでしょう?
オリンピックが、また違った視点から面白くなるかもしれませんよ!

(2010.02.22)


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