骨導(骨伝導)とは?

普段、私達は、外耳(いわゆる“耳”です)から中耳(鼓膜など)、内耳を通して音を聞 いています。

実は、私たちが音を聞く経路は、もう一つあるのです。 それが骨導(骨伝導)です。専門的に分けると、一般的な外耳~中耳~内耳の経路で音を聞く経路は「気導(きどう)」と呼ばれ、もう一つの経路は「骨導(こつどう)」と呼ばれます。

骨導は、文字通り、骨を通して音を聞く経路です。

具体的に言うと、中耳を使わずに、頭蓋骨を揺らすことによって、頭蓋骨の中に収ま っている内耳に、音を直接伝える経路なのです。

もう無くなってしまいましたが「ツーカー」という携帯電話会社が、一時期、「骨伝導 式携帯電話」を発売して、一般の方にも知られるようになりました。

あれは、携帯電話のスピーカーから出るはずの音を、振動子(バイブレーター)を使 って振動に変えて出していたのです。 空気の揺れだった音を、機械の振動に変換してしま ったわけですね。 その振動子を頬骨などに充てれば、振動は骨の中を伝わって、内耳に も伝わります。その振動は、鼓膜が揺れて内耳に音の情報が伝わるのと同様に内耳に伝わ って、音として聞こえるるのです。

この骨導が最も強く発揮されるのが“自分の声”です。録音した自分の声を聞くと、何と なく気持ち悪い感じがするでしょう?でも、それを友人などは、別段、おかしくも感じて いないらしい。これは、自分自身の声は、発声したときに頭蓋骨に生ずる振動によって、 骨導ルートで強く聞いているのに対して、他の人たちは、普通に気導ルートであなたの声 を聞いているからです。ルートが変わると音質も変わってしまうのです。

例えば、おせんべいをパリパリと食べている時などは、骨導が主役のようなものなので す。目の前にいる人が、凄く美味しそうな音でパリパリ、ボリボリ・・・ 自分も食べてみ たけど、どうも、あの美味しそうな音と違う・・・ などという経験は、どなたでも一度や 二度はあるのではないでしょうか?

食品の“食感”は、その“音”で大きく変わるものですが、食べている人は、その音を骨導ル ートで強く聞いているのです。よって、骨導の特性を知らなければ、“美味しい食感”を出 す音を見つけるのは難しいという事になりますね。

下図は、おせんべいを食べた時の周波数スペクトルです。どちらが骨伝導音だかわかりますか・・・

スペクトル図

工学博士 坂本がお答えします。

解説

おせんべい 骨伝導音サンプル

実際に聞いてみていただくのがいいでしょう。

おせんべいの咀嚼音

おせんべいの咀嚼骨伝導音

*骨伝導音は、弊社が一定の条件で骨伝導音(そのように聞こえるよう)に変換した音です。

それぞれ、骨格が違いますので全ての人が、変換した音のように聞こえると言うわけではございません。予めご了承ください。