昨年、ある大手メーカーさんの本社で講演させていただく機会がありました。
それとは別に、母校の工学院大学で、特別講義をさせていただく機会もありました。
もちろん、話の内容は異なるのですが、1つだけ全く同じ話をしました。
それは、「他者とのコミュニケーションにおける基本」の話です。
私が考えるコミュニケーションの基本は、
「今、目の前にいる人は、何が欲しくてあなたの前にいるのか?」
を考え、理解することです。
昨今は、プレゼンテーションスキルや上手な会話法など、とかく自分をアピールする方法にばかり注目が集まっています。
もちろん、それはそれで重要なスキルなのですが、コミュニケーションの基本はギブアンドテイクです。
相手の想いに考えを巡らすことなく、自分が欲する事柄ばかりをまくし立てても、何も伝わりません。
「あなたの利益はわたしの利益」
この考えが無ければ、良い仕事は絶対にできませんし、良い友人に恵まれることもないでしょう。
「自分が欲しいものを相手は持っているのか?」を考える前に、「相手が欲しているものを自分は提供できるのか?」を考えること。
より良いコミュニケーションの出発点だと思います。
講演を聞かれた企業の皆さんも、工学院大学の学生さんたちも、目を輝かせて聞いてくださいました。
一方で、そんな悠長なことを言っていると、ビジネスの世界では生き残れない!
そんな声も聞こえてきます。
そう、確かに、他者を出し抜いてでも己の利益を追求するようなマインドが無ければ、勝負に負けてしまうこともあるでしょう。
でも、それでもやはり、私は、相手が自分より年上でも年下でも、大きな会社の人でも下請け業者さんでも・・・どんな相手に対しても、コミュニケーションの基本は
「相手の話を聞くこと」「相手の欲しているものを知ること」
だと思うのです。
相手の想いを聞きましょう。
そして、そのために、自分に何ができるのかを考えましょう。
それが「伝わる技術」の第一歩目だと思います。
(2016.2.22)