前回は、音の①周波数、②音の成分の時間的な変化、③音の強弱
のうちの①周波数について、お話しました。
今日は、②音の成分の時間的な変化について、お話しましょう。
音の時間的な変化は、このような場合は周波数の変化と考えても良いかもしれません。
機械や部品に何かがあれば、当然、音の強弱も変化するわけですが、多くの場合は、音量だけが変化するわけではなく、周波数成分も同時に変化するのです。
しかも、ほとんどの場合は、声における変化よりも、もっとずっとわずかな、そして、とても短い時間のちょっとした変化でしょう。
あっ!と言う間の変化かもしれません。
普通の人なら、まず気が付くことのない周波数成分の時間的な微小変化です。
こういった、すばやい変化を聞き分ける能力は「時間分解能」と呼ばれています。
以前にもお話したように、人間の内耳は、耳に入ってきた音を、基底膜上の25,000本の有毛細胞で周波数成分ごとにバラバラに分解して、30,000本もの聴神経に振り分けて情報を脳へ送っています。
つまり内耳は、極めて細かい周波数まで分解しているのです。
ベテラン工員さんたちは、長年の経験で、有毛細胞や聴神経の数が増えたのでしょうか?
これは・・・ちょっと考えにくいです。
しかも、それがすばやく変化している、その変化の様子の違いをも聞き分けるとなると、これは有毛細胞や聴神経の数だけでは説明できません。
内耳における「周波数分解能」と「時間分解能」は、おそらくは、一般人と大きくは変わらないであろうという事です。
では、なぜ、彼らには、私たちには聞き分けられないような、音の高さや、その変化を聞き分けることが出来るのでしょうか?
(2012.6.24)