オトコラム

第39号 骨で聞く(4)

引き続き、骨導のお話です。前回は、自分の声と骨導のお話でした。

しかし、もちろん、骨導が影響を及ぼすのは、自分の声だけではありません。例えば、おせんべいをパリパリと食べている時なんかは、骨導が主役のようなものなんですよ!

目の前にいる人が、凄く美味しそうな音でパリパリ、ボリボリ・・・自分も食べてみたけど、どうも、あの美味しそうな音と違う・・・な~んて経験は、どなたでも一度は二度はあるのではないでしょうか?

私の姉は、いつもやたらと美味そうな音でおせんべいを食べるんですよ。小学生の頃など、何度あの音に釣られて、私もおせんべいを食べた事か!

そして、

「姉のような美味しそうな音が出ないなぁ」

と良く思ったものでした。これも、骨導の影響が大きい典型的なシーンですね。

特に、おせんべいのように堅い食べ物は頭蓋骨を良く振動させるというのは、骨導の原理を理解したオト・コラム読者の皆さんなら想像できると思います。堅い食べ物ほど、誰かが出している音と自分が出す音のギャップは大きくなるんです。

しかし、軟らかい食べ物であっても、口の中で咀嚼(そしゃく)する物に関しては、咀嚼している時に自分に聞こえる音と、それ以外の時の音はかなり違うと思って間違いはないでしょう。

そう、「物を食べる」、「飲み物を飲む」など、口から何かを摂取する時は、私たちは骨導を通して、他者にはほとんど聞こえない、でも想像しているよりも遥かに大きな“音”を聞いているのです。

そして時には、その音は、食べ物や飲み物の味や喉ごしなどに、かなり大きな影響を与えるのです。

(2012.1.23)


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