オトコラム

第38号 骨で聞く(3)

前回、前々回に引き続きまして、骨伝導のお話です。

前回、「私たちは、普段の生活でも、骨導を当たり前のように使っているのです」と書きましたが、最も良く使っているのは「自分の声」です。

声は、肺からの空気が声帯の振動(開閉運動)によって形作られて、喉から口、唇を通して出されています。

そんな“声が作られる過程”で、頭の中のアチコチで“振動”が起きるってことは、何となく想像できるでしょう? その振動は、当然、内耳にも伝わります。

声帯や喉や口は、内耳のすぐそばにありますから、伝わる振動はかなり強くなります。 内耳の中のリンパ液が“ザブンサブンと(言い過ぎかな?)”揺らされるのです。

私たちは、唇から出た自分の声を、気導を通して聞きつつ、同時にかなり高いレベルで骨導を通して聞いているのです。

皆さんが最も実感しやすいのは“録音された自分の声”です。

何か変な感じですよね?
周りの人は違和感を持ちませんが、自分自身は変な感じですよね? 録音された自分の声って、気持ち悪いと言うか、何とも言えずおかしな感じです。 なぜかと言えば、私たちは、自分の声は、

(気導+骨導)

で、しかも骨導の割合がかなり高い状態で聞いています。
一方で、周りの人々は、ほとんど気導だけで聞いているからなのです。
全然違う声を聞いているということですね。

録音された声が、周りの人が普段から聞いているあなたの声なのですが、それはあなたが普段聞いている(骨導が強い)声ではないのです。

(2011.12.14)


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