オトコラム

第32号 目で聞く

音は耳で聞くものです。
それは、当然!
オト・コラムの読者の皆さんは、その「耳」のメカニズムにも、今はかなり精通していますよね?

今回のテーマは「目で聞く」
「なんのこっちゃ?」と、お思いの方もいらっしゃると思います。
ですが聴覚は、実際には聴覚単独で動いている事は少ないのです。
いや、聴覚に限りません。
人間の五感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)は、常に、それぞれがお互いに影響を及ぼしながら活動しているのです。

「目で聞く」とは、どういうことか?
最も分かりやすいのは「読唇術」です。
リップリーディングと呼ばれる事もある、唇の動きを見るだけで、声を聞かなくても相手の喋っている事がわかってしまうという、あれです。
幼少期に難聴になってしまった、いわゆる先天性難聴の方は、この能力がとても優れている場合が多いのです。

以前に、先天性難聴の方に、人が喋っている様子を撮影したビデオ映像を、オーディオケーブルを抜いて、画像だけの状態で(つまり音無しで)見せた事があります。
横にいた私には、もちろん、全く何を言っているのか分かりませんでしたが・・・

ビックリ!!

その方は80%以上の内容を理解していました。

この読唇術、専門的に教えてくれるスクールもあるそうですが、実は、普段から心がけているだけで、我々も、多少は身に付ける事が出来るのです。

相手の唇の動きを見ながら聞く習慣を付けてみましょう。
周囲がうるさい場所で会話をする際など、今までは分からなかった内容が理解できる場面が、結構あるはずです。

視覚によって聴覚を助ける。
聴覚によって視覚を助ける。

他にも色んな場面で五感は助け合い、協力し合っているのです。
「目で聞く」も読唇術は、その一端にすぎません。
これから追々と、色んな例をあげて、五感の助け合いのお話しもして行きましょう。

(2011.05.23)


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