オトコラム

第23号 続・耳とスポーツ

前回、「耳とスポーツ」についてのお話をしましたところ、オト・コラム始まって以来の多くの読者の皆さまから、大変に大きな反響を頂きました。
メールやコメントを頂きました皆様、ありがとうございました。

そこで今回は、その続編として、皆様から頂いたコメントなどを盛り込みつつ「耳とスポーツ」について、もう少し考えてみたいと思います!

意外に多くのコメントを頂いたのが「ブラインドゴルフ」です。
ご存知ですか?
視覚障害者の方が、晴眼者の方をパートナーとして一緒に楽しむゴルフ競技で、世界選手権大会も開催されているんですよ。
どんなスポーツかって?
打つ方向や距離、ボールの位置などはパートナーの方が教えてあげて、視覚障害者の方は、その指示に従って打つだけです。

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それで楽しいの?って思いましたか?
ところが、ところが・・・
視覚障害者の方々は、音でゴルフを楽しんでいるんです!
ボールを打った時の打球音やカップインした時の「コーン」という音は当たり前として、晴眼者が普段は気にも留めていないような様々な音を敏感に感じながら、ゴルフというスポーツを心から楽しんでいるのです。
皆さんも、やられてみてはいかがでしょう?
新たなゴルフの楽しみを発見できるかもしれませんよ!
(ちなみに私は未体験です・・・ゴルフやらないもんで・・・スイマセン)

野球やソフトボールに目を向けてみましょう。
草野球で外野手をしていると想像してみてください。
ある日のゲームは大接戦!
延長、延長で、あたりが薄暗くなってきてしまいました。
いつもなら、当たり前のように捕球できる外野フライが・・・見えな~い!

草野球好きの読者の方から実際に頂いたコメントですが、こんな場合は、ボールがバットに当たった時の打球音で、前進するか後退するかを決めるんだそうです。
慣れた方なら、かなりの確率で飛距離を測ることができます。
「打球音による飛距離の予測」はプロ野球の一流外野手も、かなり頼りにしているそうです。

そして驚いたのが、フィギュアスケートの元学生チャンピオンの方から伺った話です。
フィギュアスケートと言えば、バンクーバーオリンピックでの金妍兒選手と浅田真央選手の激闘は記憶に新しいところですね。
あの競技の中で良く行われるのが“高速スピン”
目にも止まらぬスピードで回転しながら、足を上げたり、腕を美しく広げたり。
良く目が回らないなぁって思いますよね?
そして同時に、「何回回ったか、自分で分かってるんだろうか?」って思いませんか?

あれは、音で回転数をカウントしているそうです。
そう、スケート靴の歯が氷を削る音です。
言われてみれば、な~るほど!
高速で回りながら、視覚的に(目で見て)あのスピードをカウントするのは不可能。
あのスピードについて行けるのは「聴覚」だけです。

我々は、日常の様々な場面で聴覚を利用しています。
外敵やトラブルから身を守るため、知識や情報を得るため、他者とコミュニケーションを取るため、そして・・・友情や愛情を感じ、伝え合うために。

しかし、そんな当たり前の日常生活を支えるだけでなく、聴覚は、時には、超人のようなスポーツ選手の高等テクニックをも演出しているのです。

(2010.05.10)


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