オトコラム

第20号 どっちから来た!?

皆さんは、耳って、何で二つあるんだと思いますか?
そんなの、考えたこともない?
当たり前ですね。
でも、そんな「考えたことも無いこと」を考えさせるのが、オト・コラムなのです。

ちょっと考えてみましょう。
まず、パっと思いつくのは、ビジュアル的な問題。
どちらか片方だけだったら、見た目にちょっとアンバランスかもしれませんね。
一つだけだったら、頭のてっぺんとか、顎の先とか、そういう場所に配置されてたかも・・・
でも、きっと、神様の美的感覚は、顔の両側にバランス良く配置する事を選んだのでしょう。

他には、どんな理由があると思いますか?
賢明な読者の皆さんなら、もうお分かりでしょう?
その通り! 

音の方向を知るためです。
人間って、何か音がすると、即座にその方向を見ますよね?
しかも、その方向って、けっこう正確でしょう?

視覚や嗅覚には、方向を知る能力はありません。
後ろで誰かが“アカンベー”をしてても、気が付きませんよね?
視覚は、顔の前側の限られた範囲の物しか見ることが出来ませんから。

教室で誰かがオナラをして・・・
そのオナラが、音が無いヤツ・・・く、くさい~
でも、その臭いが誰から発せられてるのかって、なかなか分かりませんよね?

耳は、人間にとって最大の方向探知装置なんです。
危険が迫ってくる・・・
車が近付いてくる!、爆発音が聞こえた!、母ちゃんが怒って走ってくる!・・・
どっちの方向から来ているのか瞬時に判断して、反対の方向へ逃げるでしょう?

なんで、そんなに正確に分かるかって言うと、耳が二つあるからなんです。
例えば、あなたの左斜め前方で音がしたとしましょう。
その音は、空気の中を伝わって、あなたへと到達します。
左の耳に先に到達するでしょう?
ほんのちょっとの差だけど、確実に左の耳に先に到達するでしょう?
この、左の耳と右の耳に音が到達する時間の差を「両耳間時間差」って呼ぶんです。
それから、左耳に入る音の方が、ちょっとだけ大きいはずですよね?
音がした方に距離が近いんですから。
この、両耳に入る音の大きさの差が「両耳間強度差」です。
人間は、大まかに言うと、この「両耳間時間差」と「両耳間強度差」を使って、音の方向を知っていると言われています。

ここで、「両耳間時間差」について考えてみると・・・
音が正面からなら両耳に同時に到達するから両耳間時間差はゼロで、真横からなら両耳間時間差は最も大きくなりますよね?
45度なら、その中間くらいの値だろうって言うのは予測がつきますよね?
人間は、両耳間時間差がどれくらいの値かで、その音の方向を知っているんです。
まぁ、細かい数字はさておき、この「両耳間時間差」が、だいたい、どれくらいかと言うと、、、

1000分の1秒よりも短い時間です。
そんな短い時間差の違いを感知して、瞬時に方向を知る!
人間の耳って、凄いですよね!

な~んて、あなたの耳も、いつもやっているんですよ。

(2009.11.2)


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