前号では、「空気君」の進化形である「音源君」が、舌、口蓋垂(こうがいすい、つまりノドチ○コ・・・です)、上あご、下あご、歯、唇などで作られている“管”を通るというお話と、まずは、その中の舌の動きについてお話ししました。
今までお話ししてきた通り、人間が声を作るメカニズムは、管楽器とほぼ同じです。
しかし、では、実際の管楽器を上手に操れば、言葉を話せるようにできるでしょうか?
人間の声と同じように、「こんにちは」とか「大好きだよ」とか「バカやろー!」とかって、管楽器から出せるでしょうか?
一流のオーケストラの演奏者にお願いしても、これは無理ですね。
それっぽい音は出せても、込み入った話をするなんていうのは絶対に不可能です。
ではなぜ、人間にそれが出来るのか?
人間が持っている管楽器、肺~声帯~舌や顎や歯や唇が、実際の管楽器とは比べ物にならないほど、大きく、ダイナミックに、繊細に、高速に動いているからなんです。
だからこそ、実際の管楽器には絶対に出せない“言葉”という複雑な音(声)を奏でることができるのです。
そんな凄い楽器を、いつも当り前のように演奏しているあなた!
そう、あなたは一流のオーケストラの演奏者など比べ物にならないほどの、世界一の“声”の演奏者なのですよ!
ところで、前回は舌の動きについてお話ししましたが、実は、上顎の動きも物凄いんです!
口に指を突っ込んで、歯の裏側の上顎のあたりを触ってみましょう。
ちょっとヒダになっていて、そして“硬い”ですよね?
上顎は、専門用語では口蓋(こうがい)と呼ばれます。
「口の蓋(ふた)」ですね。
そして、この硬い部分は「硬口蓋(こうこうがい)」と呼ばれます。
さらに奥に指を突っ込むと~~
オエッ!
言い忘れましたが、食後すぐはやめたほうがいいですよ。
遅かった・・・?
上顎の奥の方の、柔らかくて、押すと“オエッ!”となる、このあたりが「軟口蓋(なんこうがい)」です。
この軟口蓋の奥の方に口蓋垂(ノドチ○コ)がぶら下がっています。
この軟口蓋って、実はもの凄い勢いで動いているんですよ。
普段は意識することもないですし、ほとんどの人が気がつかないんですが・・・。
スピードは舌の方が速いかもしれませんが、動く距離は軟口蓋の方が大きいかもしれません。
グワッっと奥に引っ込んだり、また出てきたり、そりゃぁ、もう、ダイナミックです。
声帯から出てきた「音源君」、今度は舌と軟口蓋が、複雑に、しかも超高速で動きまわるトンネルを抜けて行かなければなりません。
ウネり、動きまわり、波打ち、のた打ち回る・・・、インディジョーンズも真っ青の恐怖のトンネル!
生きて出られるのでしょうか?
(2008.10.07)