オトコラム

第4号 人が音を聞くメカニズム(1)
    ~音は、空気の中を漂う~

人間が音を聞くメカニズムは、とても複雑です。
専門書では、数多くの図解を交えながら、難しい専門用語を駆使して解説されています。
しか~し! オト・コラムは、音に関しては専門外の方々を対象にしているのです!
難しい用語は、一切使いません!
しかも、テキストベース(文字だけ)のメルマガですので図解もしません!
全て文章だけで、あとは皆さんの想像力に任せて、お話してみたいと思います。
さてさて、皆さんに、どこまで楽しんで頂ける文章が書けるのか?
今回から数回に分けて、かんばってみたいと思います。

「音は耳で聞く」
これは当然ですね。
ここで耳というと、皆さんは、顔の横に付いている、悪ガキが母ちゃんに叱られる時に引っ張られる、あの耳(耳介:じかい)を想像しますよね?
ですが、音を聞くために、皆さんが想像する“耳(耳介)”が果たしている役割というのは、実はごくわずかなのです。
耳介には、周囲の音を集めて耳の穴の中に導く“集音効果”があります。
ありますが、だからと言って、耳介が無くなっても音が聞こえなくなるわけで
はなく、耳の穴に入ってくる音は、普通にちゃんと聞こえるんです。
そう、音にとっては、耳の穴から奥が“本番”なんです。

そう言えば、そもそも「音」ってなんでしょう?
私達は、常に、空気に満たされた中で生活しています。
この空気というもの、目には見えませんが、いつも揺れ動いているのです。
例えば,水で満たされたプールを思い出してみてください。
プールの水は,たとえ人が誰も入っていなくても、常に微妙に揺れ動いていますよね?
小さな波、大きな波、色々あるでしょうが、とにかく、完全に静止している状態って無いですよね?

空気も同じです。
目には見えませんが、水のように、いつも揺れ動いているのです。
そして、音の正体は、まさしく、この「揺れ動く空気」なのです。
もう少し難しい言い方をすると、「揺れ動く空気」=「気圧の連続的な変化」ということになります。

あなたの目の前にいる人が,声を出した時を考えましょう。
その人の口から出た「声」=「息」が、周りの空気を揺り動かします。
この“揺れ”は、まるで,プールの水の中に物をポチャンと落した時にできる波のように、先へ先へと周囲に広がって(伝わって)行きます。

この空気の波(揺れ)は、あなたの耳の穴の中にある空気にも、当然、伝わっていくのです。
耳の穴を、奥へ奥へと、波は進みます。
そして、その先にあるのは・・・まるで太鼓の革のように張られた、とってもとっても薄い膜。
そう、あなたの小さくてかわいい鼓膜です。
鼓膜は、とても軽いので、伝わってきた空気の波に応じて揺れ動くのです。
奥に手前に、波に合わせてユラユラと。

(2006.08.03)


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